📖【#カグラバチ】129話「製鉄 肆」/国重も”製鉄”されている/”展開遅い”と言われてる件について/大事なときこそ「シンプル」を選ぶ/柴さんの献身(※本誌ネタバレ有)(26年39号)[感想・考察]

カグラバチゆっくり129_製鉄肆_サムネ_2026-39 ▶定期更新ブログ

この記事はカグラバチ本誌ネタバレ有です。見たくない方は回れ右をお願いします。


「バチママ~カグラバチゆっくり感想ch~」運営中のブログ管理人バチママです。
ゆっくり感想動画の編集後記・裏話です。

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『カグラバチ』第129話「製鉄 肆」

とうとう肆まで来ました。
「製鉄」の「章」と言ったらいいのか、「シリーズ」とか言ったらいいのか…。
まさか刀鍛冶の一工程をここまで話数を割いてやるなんて。と驚いています。

‥というのも、これまでカグラバチは「テンポ感、またはスピード感」を重視してたと思うんですよね。
「少年ジャンプというずっと群雄割拠の戦国時代をやってる誌面に残り続けるため」
読者に飽きられない思索を巡らせて外園先生はある程度戦略的にマンガ作りをしていたのです。
(実際作者インタビューの中などでそのように語られています)

それを踏まえると、ともすれば「テンポ感」を損なう恐れがある「製鉄」という「戦闘もない・ド派手な展開もやってこない静かな回」を外薗先生がここであえて持ってきたことに意味を感じてしまいます。

この「製鉄」シリーズが「カグラバチ史の中でいかに重要だったか」を如実に物語っていると言えるんじゃないかな…と思えます。

今回の一連のエピソードは、決して社会科見学のように「刀ってこんな風に作られるんだよー」って、読者に見せる目的だけではなかったですよね。

最高の刀を鍛え上げていく工程を通して「六平国重」という男もまた鍛え上げられていく。
今まさにその過程を見ている最中なのだと思えます。

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🔥 「製鉄」というシリーズの全体の印象

不純物(鉄滓(ノロ))が国重にもある

「製鉄」とは、鉄から不純物(=鉄滓(ノロ))取り除き、純粋な鋼を生み出す作業です。

本作において、この工程は六平国重という男の精神的な精錬と完全なシンクロを見せている気がしました。

国重の人となりは前回分析した通りやはり
「自分の外側に原因を求めない」という、内省的な青年だとバチママは思っています。

カンタンに言えば人のせいにしない。

そして逆に言うと「自分が納得しなければ進めない」人物だとも言えそうに思っています。

千晃のことに関してだってそうです。
千晃は明らかに「国重がいい」「国重が必要だ」「国重がいてくれて良かった」と言っているのに。

そして国重だって明らかに千晃が好きなのに。
国重はそれだとどうやら「納得いかない」みたいなんですね。

なぜなら彼はどこまでも【自分】だから。
自分が千晃に相応しい男かどうか、自分で納得いかなければだめなんですね。

見ているこっち(読者)としてはホントにもどかしい。
「千晃がお前がいいって言うてるやろがい!!!」ってドツッコミを入れたくなります。

…本当に人生がしんどそうな性格をしているなぁと感じます…。

でも。だからこそ。

そのどこまでも【自分】に向かう姿勢が「職人」としての天才性と結びつき、戦後ですら誰も再現することが叶わない「妖刀」を七工も生みだすことが出来た。

そのように感じました。

しかしその一方では、その頑固さは彼自身を「自分はいないほうがよかったのではないか」という自己否定の檻に閉じ込める呪いでもあったんじゃないかなと思えます。

第129話では、鋼から鉄滓(ノロ)を排するように、国重が自分を苦しめていた心の不純物を取り除いていき、長らく読者として私が感じてきた国重に対する「もどかしさ」を自ら解消していくきっかけをつかめたのではないか?という期待を持てるラストシーンだったように思えました。

圧巻・ラスト6頁の演出

定期的にお出しされて我々読者を興奮のるつぼに誘うでおなじみの

「外薗先生の真骨頂!めくりの技術」

…が、今回もラスト6ページで大爆発していました。
とりわけ「国重の人生を語る5つの「眼」の描写」&「ラストの見開きページ」は、漫画表現への外薗先生の挑戦であると強く感じました。

5つの眼の走馬灯

最初の2つの眼

絶望の象徴。父の暴力と、母の死という消えない傷跡。

3つ目の眼

光を失い、完全に心が停電してしまった真っ暗な瞳。

4つ目の眼

 変化の兆し。千晃が用意してくれた料理の「火」。
この家庭的な温かさの描写が、彼にとっての救いの灯であることを示唆しています。

5つ目の眼

 ページをめくった先に現れる、画面いっぱいの大きな眼。
そこにはこれまでの絶望にはなかったハイライトが入り、明らかに「これまでと違う」と感じさせる。千晃と花火が生き生きと輝きながら映し出されています。


この視覚的な走馬灯演出により、国重の精神が「千晃によってどれほど救われたか」痛いほどに伝わります。この描写を見れば、彼がなぜここまで命を懸けて妖刀を作るのか?なぜここまでして千晃を救おうとするのか全て納得してしまう。その力があの目にこめられていました。

大事なときこそシンプルな語彙で

外薗先生は大事なときこそ「シンプル」を選ぶ傾向があるように感じています。
今回の場合は何をシンプルにしたかと言えば「言葉」

「絶望も」

…の後

「希望も」

という国重のモノローグ。

ここまで極限に削ぎ落した語彙で勝負できるのは、この「圧倒的描写力」がなせる業だと思います。

いらないんですよね。
飾り立てたフレーズもカッコいい語彙も。

だって読者は見れば分かるんですから。

外薗先生が全部おぜん立てしてくれてるんですよ。
めっちゃくちゃ丁寧に。
製鉄というシリーズ全てを使って全部「組み立て」してくれてたんです。

だから、あの国重の眼の走馬灯を見れば全部伝わっちゃうんです。

これまで多少「地味な展開」だとか、「テンポが悪い」とか言われたかもしれません。しかしここまでしっかりと国重の過酷な過去を描写しなければ、あの過去が描かれなければあの目の走馬灯の名シーンは成り立たなかったと思います。これで良かったのだと、隅々読んできて本当に良かったと、思えるシーンを見ることが出来たことが幸せに思いました。

「人間・六平国重」

これまでの国重は、どこか自分を「神(雫天石)を手なずけるための道具」のように扱い、自己犠牲を厭わない危うさがあった感じがしてました。

しかし、千晃という「ありのままの自分」を肯定してくれる存在を通じ、彼は一人の「人間」として戦う決意を固めます。

「たたら製鉄は”人間”で挑む」 「”六平国重(おまえ)”という人間で…!!」 「今日俺は お前に相応しくなる」

このモノローグは、単なる恋愛感情を超えた、深い慈愛と自己肯定へ向かいたいという欲求のようなものを感じました…。

誰の代わりでも、呪われた血の継承者でもなく、一人の人間・六平国重として、自分に合格点を出して千晃の隣に立ちたいと願うその姿。

それが溢れて光となり大きな炎となり、国重自身の輝きでもあるんじゃないかと思える見開きのシーンでした。

ひたすらに

尊い…。

”相応しくなる”の答えって?

ひとつまだ、分かり切れていないことはあります。
それは…

”お前に相応しくなる”って…
どうなればいいの?

ってことで。

本当に単純に考えればこの製鉄を成功させ、妖刀を完成させ、千晃を救う。
六平国重というありのままの人間として千晃に向き合う。
それを達成したときに「相応しくなる?」ということなのかな…

先ほども述べた通り、「自分が納得できないと進めない」国重。
自分が納得のいく「相応しさ」を手に入れ
しっかりと千晃を迎えに行くことができるのか…?

…その答えがハッキリする瞬間があるのかどうか?
ちょっと楽しみなポイントです。

柴さんの献身

国重を信じ、支え続ける柴さんの存在も語らねばなりません。

満身創痍でありながら国重の傍に立ち、その背中にそっと手を置く姿。

「行け、このまま」

…という言葉は深かった
「”このまま”のお前でいいんだよ」
と柴さんも千晃と同じく言いたいのだろうと。
ありのままの国重を親友として全部肯定してくれているんだなと感じました。

背中にそっと置かれた手は柴さんが国重に「頑張れ」と背中を押す意味と、「何かあればすぐに助ける」という献身の意味があったように思えました。

柴さんだってきっと二人を応援したかったし、添い遂げて欲しいと思っていた。
でも何か知らんけど叶わない!!
柴さんは努力して二人をつなぎとめようとしていたけどことごとく色々な勢力が邪魔をする。

まさに「どいつもこいつも…(# ゚Д゚)」状態で彼もフラストレーションだいぶ溜まってたでしょう。

もしかしたら国重にも「六平もっとぐいぐい行けって!」って思ってたかも?(笑)

だからああやって「今しかないんだ」って千晃のために必死に変わろうとする彼を柴さんは嬉しく思ったのかもしれませんね。

一番傍にいて、万一の際には瞬間移動で彼を救い出そうとする覚悟。
「今度は絶対に死なせへん!」と真城くんを思いながらその場にとどまったのかも。
とんでもない痛みをこらえながら…

いやー柴さんが親友でいてくれて本当に良かった。

我々はすでにデカイネタバレを食らってる

私たちは、この物語がやがて悲劇へと向かうことを知っています…(ぐ…受け入れたくないが…)。
しかし、だからこそ、彼らが駆け抜けた幸福な時間が訪れた際には、少しでもそれが長くなるよう祈る思いです。


最後まで見届ける覚悟を持たなければ…(いや無理かも知れない…)。

今日の振り返りは以上です。


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📝 おわりに

「材料をこしらえている段階」で、これほどまでに読者を熱狂させ、魂を揺さぶる漫画がかつてあったでしょうか。キャラクターの一挙手一投足に命が宿り、演出のすべてが伝説となる。

カグラバチ、最高!次週、鋼がどのような形を成すのか、全力で見届けましょう。

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公開された表紙…これまでの『カグラバチ』のイメージと明らかに違うカラーリング…。
異質な空気感ですね。

黒い瞳の中をよくよく見ればちゃんとこちらをにらんでいるのが分かるんですよね。
これは漫画の中でも結構そうです。
真っ黒の眼のように見せかけてちゃんと視線を描いているし、よく見れば表情も描き分けられているんですよね。

11巻と並べると

この対比・対立構造を表紙で表現するというのが憎い・・・

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