歯車が動き出した「転換点」
『カグラバチ』第131話はまさにサブタイトルの通りでした。
ここから物語が違う章へ進むのかしら?というワクワクをくれる「妖刀へのGOサイン」
そして、ずっとナゾのベールに包まれていた前・刳雲契約者・巳坂伊武基の登場での引き。
国重の愛という「個人の感情」を飲み込み「国家規模の渦」へと流れるように巻き込まれていくような…?
まさに「歴史の転換点」となった回だったと思います。
こうやって131話を見た後だと理解できるような気がします。
なぜこれまで「製鉄」を丁寧に描いてきたのか。
少し展開が遅いのではないか、テンポが悪いのではないかと読者から言われるリスクを負っても実行した。
それは
状況の全てが「製鉄」を完了させたことで変わったからなんですね。
妖刀という最強の武器への可能性が見えてきたことが
日本が一番取りたかった選択肢を取らせるに至るのですから。
これは日本という国にとってあまりにも大きな「転換点」だったのだと思えます。
カグラバチ世界の歴史にとって大変重要な出来事だった。
…だからこんなにも「製鉄」という回を丁寧に描いたのか。
「製鉄」というシリーズに4回(「火」の回を入れれば実質5回だったでしょうか)もの話数を割いたことに、きっと意味があったんだろうと思ってはいたのですが…こういうことだったのですね。
何も選べなかった姫が”選んだ”瞬間
冒頭の六平国重と千晃の再会シーン。
「ふふん」と涙と笑顔を国重に向ける千晃。
「声聞きたかった」と…
むちゃくちゃ…
カワイイじゃねぇかおい千晃…。
「国重さらっちゃえよ!」って叫びだしたくなるほどの愛らしさですが…
それはまぁいい。
それはいったん置いておいて。
「曽我家」に生まれ、そして「予言の姫」に選ばれ「箕加星の元へ行く」ことになりました。
いわば「選べない」人生を歩んできた彼女だったと思います。
そんな彼女が、あの瞬間は自分の行動を「選んだ」のです。
自らの足で国重へ駆け寄り「声聞きたかった」と告げたあの瞬間。
それは彼女が初めて自分の人生を選び取った、言葉以上の重みを持つ「選択」であった気がしました。
良かった。
そりゃ恋する若い乙女が自分の愛する人を目の前にして駆け寄らずにいられますか。
このなんともエモーショナルな余韻を断ち切るように…
冷徹な政治的会議が幕を開けていく…。
いや…もうちょっと見せてくれても良かったのよ?国重と千晃を…。
あ、そうですか、だめですか…。
はい行きましょうね次へ…
ヤンキー剣豪・巳坂伊武基のインパクト
会議の前にやっぱりこっちに触れずにはおれんです。
ついに。ついにその素顔を現したアニ・キー。
巳坂 伊武基が顔出し初登場となりました。
グラサンにドデカバイク、そして抜き身の刀…(←なぜ抜いてるアブない)
これまでの「剣豪」というストイックなイメージを正面から破壊するヤンキー的ビジュアル。
強烈なインパクトです。
口元に「チュッパチャプス(推定)」をくわえ、威圧感の中に「愛嬌」まで同居させるとは…恐れ入った。
素晴らしいキャラデザ。
巳坂は我がチャンネルでは実は、奈ツ基もすごい人気者です(←ゆっくりの再生数で分かる)。
そして、少年漫画好きは「兄弟の熱い絆」というものが大好物です。
これはいい予感しかしないです。
伊武基と一緒に若奈ツ基は出てくるのでしょうか…
普通に考えれば「一緒に東京に来た」って言ってたので登場してくれそうですが…。
楽しみです!
「轟」 音と空気感を同時にデザインしている”漢字効果音”?
伊武基のバイクシーンで描かれた効果音「轟」
ここでの「轟」は【効果音】のように配置することで
聴覚情報を視覚へと翻訳。
「音のデザイン」としての漢字であるように思えるのです。
日本人である我々ならその漢字を見ただけで「雰囲気」をイメージできますよね。
「轟」という漢字を効果音のように配置することで
バイクの重厚な振動、排気音が直接脳に響くようなこの演出をねらっているのかな。
…と勝手に解釈しました。
まさに漫画でしか成し得ない「面白い体験」
それが楽しみで私は、選んでカグラバチを読んでいるのです。
おじゃんオジサンの重要性・漣京羅が導く答えの皮肉
妖刀製作を巡る会議シーンのテンポの良さには驚きました。
おじゃんオジサンこと、メガネの上層部さん。
彼は、国家反逆者とも言える国重の「妖刀への可能性」に対し、唯一懐疑的な立場を貫いた人物。
彼がいわゆる「ヒール」として大部分の懸念点を代弁したことで、物語が劇的なスピード感で進展したと思えました。
ヒールに「妖刀推進派」からの見解を聞かせ「ぐぬぬ」させることで、テンポよく話が進む進む…。
てか、逆にみんな理解早くないですか。
だって製鉄が完了しただけなんですよ?
オジャンおじの言ってること全然分かるもの。
懐疑的になるよねぇ、わかるよわかるよ。
だってまだ何も出来上がってないんですもの。
それでもこの「六平国重という人に懸けよう」という気運が高まったのは何だったんだろう。
みんな心のどこかでは「納得してなかった」からだったのでしょうか。
一年の休戦など「逃げ」ではないかと。
しかも箕加星の実力を考えればあまりにも薄氷の上だった。
できるなら「戦いたい」という思いは皆、共通して持っていたのでは?
あと考えられるのは、やはり「六平国重だから」っていう…。
あのよく分からない何か人を引き付けて巻き込む性質がそうさせた?
特に壱鬼さんなどは、もしかしたら…
国重と千晃のあの再会の場面を見たことも少なからず「妖刀推進」に動いた理由になったのでは…
なんて、勝手な想像をしました。ー
壱鬼さんは特に「若者」に全てを背負わせない大人としての責任と覚悟を感じましたもの。
若頭・漣京羅
この当時まだ若頭であった漣京羅の登場もサプライズでした。
商人として本物を見極める眼を持つ彼が、国重の玉鋼を「一級品」とお墨付きを与えたことで、妖刀製作は決定的なものとなったかもしれません。
京羅自身がこの後に人生を狂わされることになる「妖刀」の誕生を、自らの手で後押しするというあまりに残酷な皮肉…未来人の我々読者だからこそ感慨深いものがこみ上げる。
しかし京羅がもし「あなたはココで玉鋼にお墨付きを与え、妖刀推進したら後に大変な目に合うんですよ」と未来人から忠告されたとしても…
彼はきっと自分の目利きを変えることはないだろうな…と思いました。
「未来で自分がどうなろうともこの玉鋼は一級品だ」と。
その矜持をきっと彼は持っている。そう思います。
「命滅契約」計画書に刻まれていた国重の「眼」
今話で最も驚愕したのは…
妖刀づくりにおけるの超重要キーワード・「命滅契約(めいめつけいやく)」が、この初期段階の妖刀計画書に既に記載されていたことです。
いやー…まさかこの時から国重の頭の中に「命滅契約」のことまで織り込まれていたとは思ってもいませんでした。
「生死に結びつき機能するこの高度な妖術」という記述がカグラバチ本編の中にあります。
国重は製作の初期段階——つまり玉鋼にする段階よりも以前から既に予見し、計算していた。
ここはかなり国重自身のキャラクターから感じるイメージとはズレる印象があるような…。
天才的な野生のカンみたいなものでやってるのかしら?
なんて思っていたんですけどね…。
国重は思った以上に「分かってやっている」???
そう思い知らされました。
国重は単なる刀鍛冶ではない。それはもちろん当然分かってるのですが…。
刀を作るだけではなくその石の特性を理解し、未来を予見し、システムすらも脳内で構築する。
「底知れない天才」であったことを伺わせる恐ろしさすら、うっすらと感じてしまいました。
戦わない少年漫画の主人公:六平国重
私バチママが個人的にずっとこの斉廷戦争で注目してるテーマがあって。
それは「刀鍛冶をどう主人公にするのか」です。
…自ら剣を振るうことのない国重が、アクション漫画の「主人公」として成立するのか?
今。私が国重に対して感じているのは
「無自覚」
現状、彼の極めて個人的な「愛」が、巨大な政治の歯車を回すエネルギーとなっています。
「千晃を救いたい」という純粋すぎる火種が、壱鬼ら政治側の思惑と合流し、やがて国家を救う「妖刀」という巨大な「炎」へと拡大していく。
壱鬼の「一人のためではなく国のため」という言葉に対し、迷わず「やる」と即答した国重でしたが、その心中にあるのは明らかに国家への忠義ではなかった。
やっている行動は愛する女性を救いたいんだという【超個人的】な動機。
しかしそれがいつの間にか「国家の救済」という大義となってしまう。
「彼の勝手な行動」に多くの人が何故か惹かれ、なぜか助け船を出してしまう。
彼の目的を達成させたくなってしまう。
それに彼に否定的な者ですらその大きな渦には抗えず巻き込まれていく。
もうどうしようもないほどに「六平国重」という男にはあらゆるモノ・コトをひきつける力があるのではないかと思えました。
本人にその気がまるでないのにも関わらずです。
…この無自覚のリーダー性・カリスマ性が面白く興味深いです。
…「主人公」ってこういう人のことを言うんだろうか。
ことの始まりは国重という小さな『火種』だったのかもしれない。
しかし、その火種が周りの火を集めどんどん大きな火をつくり、最後は巨大な『炎』になっていくのを見届けることができるんだなぁ、と一層今話を見ることによって楽しみが増した気がします。
本日は以上です。
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